制作会社名義のドメインを自社名義にする段取り

小さな事業のIT・バックオフィス公開

この記事は特定の製品の使用レビューではありません。公式仕様と公的情報をもとに整理しています。 ・仕様の取得日

結論

  • 最初にやることは、「登録者(名義)は誰か」と「どの事業者で管理されているか」を分けて確かめることです。この2つは別のもので、手続きも別です。
  • 名義を替える手続きは、gTLD(.com など)ではICANNの移管ポリシーにいう「登録者の変更(Change of Registrant)」、.jp ではJPRSのいう「移転」です。管理する事業者を替える手続きは、gTLDでは「移管」、.jp では「指定事業者変更」です。
  • どちらの手続きも、いまの登録者の同意・協力が必要です。制作会社との話し合いが段取りの中心になります。
  • gTLDでは、登録者を替えた後に60日間、他の事業者への移管ができなくなる定めがあります。名義変更と移管の両方をするなら、順番を先に決めます。

1. 現状を確かめる

確かめること確かめ方分かったこと(記入)
管理している事業者gTLDはICANNの登録データ検索(lookup.icann.org)、.jp は JPRS WHOIS で、Registrar/指定事業者の欄を見る
登録者の表示同じ検索結果の Registrant/登録者名の欄
有効期限同じ検索結果の期限の欄
事業者の管理画面にログインできるのは誰か制作会社に尋ねる
契約書・発注書でのドメインの扱い手元の書類を見る。取得の代行か、貸与かの記載を探す
ネームサーバーとDNSレコードの置き場所検索結果の Name Server の欄

検索結果の登録者の欄は、実際の登録者を示しているとは限りません。gTLDでは登録者の情報が非表示になっていたり、代理公開のサービスの名前が出ていたりします。その場合は、管理画面の登録者情報の画面を制作会社に見せてもらうのが確実です。公開される項目の決まりは次の記事にまとめています。

ドメインをどこで取るか: 自宅住所を出さないための確認表

2. 状況から、要る手続きを決める

登録者(名義)管理画面のアカウント要る手続き
自社自社なし。5節の確認表で連絡先だけ見直す
自社制作会社管理の引き取り(3節のB)。名義変更は要らない
制作会社制作会社名義変更(3節のA)と、管理の引き取り(3節のB)
分からない制作会社1節の表を埋めてから、もう一度この表へ

制作の現場では、取得の手間を省くために制作会社が自社のアカウントでまとめて登録していることがあり、名義が制作会社になっていること自体は珍しくありません。責める話ではなく、更新の通知と決定権を自社に移すための事務手続きとして進めます。

3. 2つの手続きの違い

A. 名義を替えるB. 管理する事業者・アカウントを替える
gTLDでの呼び方登録者の変更(Change of Registrant)移管(事業者間の移動)、または同じ事業者の中でのアカウント間の移動
.jp での呼び方移転(登録者を別の人・組織に替える)指定事業者変更
替わるもの登録者(手続きの当事者になる人・組織)更新の支払い先、管理画面
替わらないもの事業者、ネームサーバー登録者
窓口いま管理している事業者gTLDは移管先の事業者に申し込む。.jp は変更先の指定事業者に希望を伝える

同じ事業者の中でアカウントからアカウントへ移す機能があるか、名義変更を同時にできるかは、事業者によって違います。公式ヘルプで確認します。

gTLDの名義変更で決まっていること(ICANN移管ポリシー II章)

  • 登録者の名前、組織名、メールアドレスの変更が「登録者の変更」にあたります。誤字の訂正は除かれます。
  • 事業者は、新しい登録者と、それまでの登録者の両方から、確実な方法で同意を得ます。
  • 変更の後、事業者は60日間、他の事業者への移管を止めます。事業者が、変更の前にこのロックを辞退できる選択肢を用意していることがあります。

このポリシーは改定の手続きが進んでいます。手続きの前に、ICANNのページの最新版と事業者の公式ヘルプを確認してください。移管の側の決まりは次の記事にあります。

ドメイン移管でメールが止まる場面と止めない段取り

.jp で決まっていること(JPRS)

  • 申請はすべて指定事業者を通じて行います。JPRSに直接申請することはできません。
  • 登録者を替えるときは「移転申請」の手続きを使います。方法は、管理を任せている指定事業者に確認します。
  • 指定事業者を替えるときは、変更先の事業者に希望を伝え、必要な手続きを確認します。

4. 進める順番

  1. 1節の表を埋める。
  2. 制作会社に、名義と管理を自社に移したい旨を伝え、協力できる時期を決める。保守契約の中でドメインの更新を任せている場合は、契約の変更も併せて話す。
  3. 自社のアカウントを、受け取る側の事業者に作る。登録者のメールアドレスは、担当者個人のものではなく、担当が替わっても読めるアドレスにする。
  4. 名義変更と移管の順番を決める。gTLDで両方をする場合、名義変更の後は60日のロックがかかりうるので、「先に移管してから名義を替える」「ロックの辞退を選べるかを確かめる」のどちらかを、事業者の公式ヘルプで確認して選ぶ。
  5. ネームサーバーとDNSレコードをどこに置いているかを確かめる。制作会社のサーバに付属するDNSを使っている場合、管理を移すときにレコードの写しが要ります。
  6. 手続きの間は、有効期限に余裕があることを確かめる。期限が近ければ、先に更新を済ませてもらう。
  7. 完了したら、検索結果と管理画面の両方で、登録者・連絡先・期限を確かめる。

引き継ぎで抜けやすいのは5です。ドメインの名義や管理を動かしても、ネームサーバーを変えなければサイトとメールは止まりません。逆に、ネームサーバーを替えるなら、レコードの引き写しが先です。

サーバ・ドメイン・メールの引っ越し全体図

話し合いがまとまらない場合の扱いは、契約の内容によります。この記事では扱いません。契約書を持って、弁護士などの専門家に相談してください。

5. 確認表

#確認すること
1登録者(名義)と、管理している事業者を、別々に確かめた
2検索結果だけでなく、管理画面の登録者情報を確かめた
3契約書・発注書でのドメインの扱いを確かめた
4要る手続きがA・Bのどれかを決めた
5名義変更と移管の順番を、60日のロックを踏まえて決めた(gTLD)
6登録者のメールアドレスを、担当が替わっても読めるアドレスにした
7ネームサーバーとDNSレコードの置き場所を確かめ、写しを取った
8手続きの間に有効期限が来ないことを確かめた
9完了後、登録者・連絡先・期限・自動更新の設定を確かめた
10自社の管理画面のアカウントに2要素認証を設定した

期限が切れてしまっている場合は、先に復旧を済ませます。

ドメインの更新を忘れたときの復旧

出典(取得日: 2026-09-20)