小さな事業のIT手帖

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手順

自宅開業でドメインを取ると住所が公開される? 出さないための取り方

公開 更新 読了11分

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自宅の住所で開業届を出し、屋号のドメインを取ろうとしている人へ。申し込み画面の設定を1つ見落とすと、自宅の住所と氏名が、誰でも検索できる場所に載ります。

これは事業者の良し悪しより先に、ドメインの種類と、申し込み時のチェック1つで決まる話です。読み終えると、どの種類のドメインを、どんな条件の事業者で取ればよいかが決まり、取った後に自分の目で表示を確かめられます。

この記事で出来ること
どの種類のドメインを、どんな条件の事業者で取るかが決まり、取った後に自分の目で表示を確かめられる
前提
これからドメインを取る人。取得済みでも、7節の確認はそのまま使える
所要時間
読んで決めるまで15分。取得後の確認は5分

先に結論:私ならこう取ります

  • 種類は .com。 代理公開を使えば、登録者の欄に自分の名前も番地も出ません。ただし国と都道府県までは表示されます(1節に当サイトの実例)。
  • 汎用JP(example.jp)を個人名で取るのは勧めません。 連絡先を代理公開にしても、登録者名は表示される決まりだからです(4節)。
  • 事業者は、代理公開が無料で、申し込みと同時に有効になるところ。 後から設定する方式だと、設定するまでの間は表示されます。
  • 名義は必ず自分。 制作会社や知人に「ついでに取っておきますよ」と言われても断ります。
目次(9)
  1. 1. 何が、どこで見えるのか
  2. 2. gTLD(.com など)で表示されるもの
  3. 3. 代理公開の仕組みと、私が見る点
  4. 4. .jp の場合:汎用JPは登録者名が出る
  5. 5. どこで取るか:条件は3つ。満たさないものは外します
  6. 6. 自宅住所が出るのは、WHOISだけではない
  7. 7. 申し込み前後の確認表
  8. 補足: gTLDとccTLDの区別
  9. 出典(取得日: 2026-09-20)

1. 何が、どこで見えるのか

ドメインを登録すると、登録情報(登録者、登録事業者、ネームサーバー、登録日、有効期限など)が WHOIS/RDAP という仕組みで検索できるようになります。

  • gTLD(.com、.net など)は ICANN の検索ページ(lookup.icann.org)で、.jp は JPRS の WHOIS(whois.jprs.jp)で調べられます。
  • gTLDでは、WHOISに代わる仕組みとしてRDAPの提供が事業者に義務づけられ、従来のWHOISでの提供義務の一部は2025年1月28日に終了しました(ICANNの2023年の契約改定)。検索する側から見ると「誰でも検索できる」点は変わりません。

実物を見せます。当サイトのドメイン it-techo.com を、公開のRDAPで引いた結果です。登録事業者は Cloudflare, Inc.、登録者(registrant)の氏名は DATA REDACTED、注記は REDACTED FOR PRIVACY になっています。

it-techo.com のRDAPの出力。登録事業者は Cloudflare, Inc.、登録者の氏名は DATA REDACTED、注記は REDACTED FOR PRIVACY
当サイトのドメインを公開RDAPで引いた結果。登録者の氏名は伏せられている(撮影 2026-09-20)
lab$ curl -s https://rdap.cloudflare.com/rdap/v1/domain/IT-TECHO.COM | jq -c '.entities[] | {roles, fn: [.vcardArray[1][] | select(.[0]=="fn") | .[3]], remarks: [.remarks[]?.title]}'
{"roles":["registrar"],"fn":["Cloudflare, Inc."],"remarks":[]}
{"roles":["registrant"],"fn":["DATA REDACTED"],"remarks":["REDACTED FOR PRIVACY"]}

正確に言うと、伏せられていたのは氏名・番地・市区町村・郵便番号で、国(JP)と都道府県の欄には値が入っていました。 設定の漏れではなく決まりです。ICANNの Registration Data Policy は、登録者の国と、収集している場合の州・都道府県を、事業者が公開しなければならない項目にしています(9.1.4、9.1.5)。「どの都道府県の人か」までは出る、と知ったうえで取ってください。それも困るなら、法人や事務所の所在地で登録できる形を先に整えます。

隠し方は事業者によって2通りあります。事業者やサービスの情報に差し替える方式(代理公開)と、当サイトのように伏せ字にする方式(REDACTED)です。どちらでも自分の氏名と番地は出ません。

調べ方の注意を1つ。.com の大元(レジストリ)である Verisign のRDAPには、登録者の欄そのものがありません。登録者の表示を見るには、応答の中の related のリンク(登録事業者のRDAP)をもう1段引きます。コマンドを打たなくても、lookup.icann.org にドメイン名を入れれば同じものが見られます。

よくあるのは、開業して数か月たってから自分のドメインを検索してみて、自宅の住所が出ているのに気づく形です。検索結果を写して載せるサイトもあるので、後から非表示にしても、載っていた期間の写しまでは消せません。だから申し込みの時点で決めます。

2. gTLD(.com など)で表示されるもの

gTLDの表示は、ICANNの Registration Data Policy(2025年8月21日から適用。2026年5月12日に一部改定)で決まっています。

項目扱い
登録者の名前・住所・電話・メールアドレス公開項目として定められている一方で、法令上必要な場合などに事業者が**非表示(redact)**にできる。非表示にしたとき、事業者は連絡用のメールアドレスかフォームへのリンクを代わりに示す(9.2節)
代理公開(プライバシー/プロキシ)サービスを使った場合登録者本人ではなく、そのサービスの情報が表示される(9.2.5節)
ネームサーバー、登録日、有効期限、登録事業者、ドメインの状態表示される

実際に何が非表示になるかは、事業者と登録者の所在地で変わります。「最近は初めから隠れるらしい」を当てにするのは勧めません。代理公開を自分で選び、登録後に自分で検索して確かめる。 私はこの2つをやるまで、取得が終わったとは考えません。

3. 代理公開の仕組みと、私が見る点

ICANNは、2種類のサービスを次のように説明しています。

種類仕組み
プライバシーサービス登録者は本人のまま。連絡先(住所など)だけを、転送先などの別の有効な連絡先に置き換えて表示する
プロキシサービスサービスの提供者が名義上の登録者になり、その名前と連絡先が表示される。利用者は提供者との契約でドメインを使う

国内の事業者が「WHOIS情報公開代行」などの名前で提供しているものが、これにあたります。

名義が提供者になる、と聞くと不安になりますが、見るべきは利用規約です。ドメインを使う権利が自分にあること、解除がいつでも自分の操作でできること。この2点が書いてあれば、私は気にせず使います。逆に、解除に問い合わせが必要な事業者は外します。移管したくなったときに、そこで足止めされるからです。

→ ドメイン移管でメールが止まる場面と、止めない段取り

4. .jp の場合:汎用JPは登録者名が出る

.jp はJPRSが管理しており、種類によって登録できる人と表示される項目が違います。

種類例登録できる人数
汎用JPexample.jp日本国内に住所のある個人・組織制限なし
都道府県型JPexample.tokyo.jp同上制限なし
属性型JPexample.co.jp(会社)、example.or.jp(法人など)種類ごとに決まった組織。co.jp は日本で登記した会社原則1組織1つ

個人事業主が登録できるのは、汎用JPと都道府県型JPです。co.jp は会社を登記してから登録できます。

WHOISで公開される項目(JPRS「公開・開示対象情報一覧」)

種類公開される主な項目
汎用JP・都道府県型JPドメイン名、登録者名、ネームサーバー、登録日、有効期限、状態、公開連絡窓口の情報(住所・電話番号・メールアドレスを含む)
属性型JP・地域型JP組織名、組織の種別、ネームサーバー、登録日、状態、担当者の情報など
  • 公開連絡窓口は、運用上のトラブルのときの連絡先として公開される連絡先です。多くの指定事業者は、ここに事業者の連絡先を表示する「代理公開」を用意しています。
  • ただし汎用JPでは、公開連絡窓口を代理公開にしても、登録者名は表示されます。個人名で登録すると、氏名が検索で見える状態になります。
  • JPRSには、汎用JPと都道府県型JPを対象に、登録者名を別の表示に置き換える「Whois登録者情報非表示設定」があります。登録者に表示したくない明確な理由がある場合に、指定事業者を通じて申し込みます。取り扱いの有無は事業者ごとに違います。
  • 公開されない項目も、JPRSの定める手続きによる開示請求の対象にはなります。

私の勧め方はこうです。 個人事業で氏名を出したくないなら .com。法人を登記したら、その時点で co.jp を足す(co.jp は組織名が出ますが、登記されている会社名なので隠す意味がありません)。どうしても .jp がよい個人事業主は、申し込む前に、その事業者が非表示設定を取り扱っているかを問い合わせてください。取った後で「うちは扱っていません」と言われるのがいちばん困ります。

5. どこで取るか:条件は3つ。満たさないものは外します

#条件理由
1代理公開が無料で、申し込みと同時に有効になる後から設定だと、その間は住所が出る。有料の追加契約だと、更新のたびに外れる危険が増える
22年目以降の更新料金が、申し込みの前に料金表で分かる初年度だけ安い料金体系はよくあります。ドメインは10年使うものなので、私は更新料金だけを見て比べます
3移管ロックの解除と認証コードの取得が、管理画面で自分でできる出口が塞がれていない事業者は、入口でも無理をしません

加えて、管理画面に2要素認証を設定できること。ドメインを乗っ取られると、メールもサイトもまとめて失います。

取る先の種類としては、ドメイン登録の専業の事業者で、自分のアカウントを作って取るのを勧めます。レンタルサーバーの契約に付いてくる「ドメイン無料」は、サーバを解約するとドメインの扱いが変わることが多く、サーバを替える自由が縛られます。費用を足したくない人はそれでも構いませんが、その場合も名義が自分であること、移管できることだけは規約で確かめてください。

料金の金額はこの記事には書きません。各社の料金ページを取得日つきで確認しきれなかったためです。比べるときは、初年度ではなく更新料金の行を見てください。

6. 自宅住所が出るのは、WHOISだけではない

ドメインの登録情報を隠しても、ネットで物を売る場合などは、サイト上に住所の表示を求められることがあります。これは別の制度の話で、ドメインの設定では解決しません。消費者庁の公式の案内を確認し、判断に迷えば専門家に相談してください。

7. 申し込み前後の確認表

#確認することgTLD.jp
1登録者として入力する名前と住所を決めた(名義は自分。制作会社にしない)□□
2代理公開(gTLD)/公開連絡窓口の代理公開(.jp)が申し込みと同時に有効になる□□
3汎用JPで登録者名を出したくない場合、非表示設定を取り扱っているかを問い合わせた―□
4代理公開中の名義と、利用規約での自分の権利、解除の方法を読んだ□―
52年目以降の更新料金を料金表で見た□□
6移管ロックの解除と認証コードの取得を自分でできる□□
7事業者からの通知を受け取るメールアドレスを、長く使えるものにした(これから取るドメインのアドレスだけにしない)□□
8自動更新を有効にし、管理画面に2要素認証を設定した□□
9登録後、自分で検索して表示を確かめた(lookup.icann.org / whois.jprs.jp)□□

9は、登録した当日と、1週間後の2回やります。当日は反映が間に合っていないだけのことがあるからです(2回という回数は私の目安です)。

→ 開業1年目のIT、最初に決めること / パスワード管理と2要素認証の進め方 / ドメインの更新を忘れたときの復旧

補足: gTLDとccTLDの区別

.com や .net のようなgTLDはICANNの方針に沿って運用され、.jp のような国別のドメイン(ccTLD)は、それぞれの管理組織(.jp はJPRS)が決まりを定めています。どのTLDがどちらにあたるかは、IANAの Root Zone Database で確認できます。.jp 以外のccTLDは、国ごとに公開の決まりが違います。調べきれないなら選ばないのが安全です。

出典(取得日: 2026-09-20)

事業者を選ぶ3条件と、確認の回数は、規則の定めではなく筆者の実務上の目安です。

この記事は特定の製品の使用レビューではありません。公式仕様と公的情報をもとに整理しています。 ・仕様の取得日

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