小さな事業のIT手帖

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判断・選び方

開業1年目のIT、最初に決めるのはドメイン。後から変えると高くつく順に並べた

公開 更新 読了9分

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開業届を出した直後の人へ。名刺にフリーメールのアドレスを刷る前に、5分だけ読んでください。

開業1年目のITで後悔するのは、高い物を買ったことではなく、後から変えられないものを適当に決めたことです。読み終えると、最初の1週間で決める3つと、半年放っておいてよいものが分かれ、それぞれの決め方の記事へ進めます。

先に結論:全部を一度に決めない。最初の1週間はこの3つだけ

  1. ドメインを、自分の名義で取る
  2. そのドメインのメールを、サーバのおまけではない場所に作る
  3. パスワードの記録の方式を決め、1と2の管理画面に2要素認証をかける

会計、請求、バックアップはその次です。サイトの中身、ロゴ入りの凝ったメール署名、NAS、役割別のアドレス。このあたりは半年放っておいて構いません。

並べた基準は1つで、後から変えると、自分以外の人に影響が出る順です。

順項目後から変えるといつ決める
1ドメイン名刺、請求書、取引先の連絡帳、登録した全サービスを直す最初の1週間
2メール過去メールの引っ越しと、取引先への周知最初の1週間
3パスワード管理変えるのは楽。ただし無いまま増えたアカウントは後から拾えない最初の1週間
4会計年度の途中で替えると、仕訳の移し替えが要る最初の売上が立つ前
5請求番号の体系が途中で変わる。影響は小さい最初の請求書を出す前
6バックアップいつでも足せる。ただし消えた後では遅いデータが溜まり始めたら
目次(9)
  1. 1. ドメイン:.com を、自分の名義で、自動更新で
  2. 2. メール:グループウェアに置く
  3. 3. パスワード管理:初日から。後回しにしない
  4. 4. 会計:最初の売上の前に
  5. 5. 請求:会計と同じ系列でそろえる
  6. 6. バックアップ:外付け+クラウドで形にする
  7. 7. 状況別:足す項目と、先に読む記事
  8. 8. 確認表
  9. 出典(取得日: 2026-09-20)

1. ドメイン:.com を、自分の名義で、自動更新で

メールアドレスとサイトの両方の土台です。

私ならこうします。

  • .com を取る。 読み上げて伝わる短い名前で。個人事業なら、登録情報に氏名を出さずに済むのも理由です。法人を登記したら co.jp を足します。
  • 名義は自分。制作会社の名義にしない。 よくあるのは、サイト制作を頼んだときに「ドメインもこちらで取っておきますね」と言われ、数年後に制作会社を替えようとして、自社のドメインなのに自分では何も動かせないと気づく形です。親切心からの申し出でも、断ってください。自分のアカウントで取り、制作会社には必要な設定値だけ渡せば足ります。
  • 自動更新を有効にする。 更新忘れは、サイトとメールが同時に消える事故です。

放っておいてよいこと: サイトの中身。ドメインだけ先に取り、メールから使い始めて構いません。

→ 自宅開業でドメインを取ると住所が公開される? 出さないための取り方 → すでに制作会社の名義だった人は 名義を取り戻す段取り

2. メール:グループウェアに置く

独自ドメインのメールは、取引先から見た連絡先であると同時に、ほかのサービスのパスワード再設定が届く先です。ここが止まると、全部のアカウントに入れなくなります。

私なら、レンタルサーバー付属のメールではなく、グループウェア(Google Workspace や Microsoft 365 の類)に置きます。 理由は2つです。サーバ付属のメールは、サーバを替えるたびにメールの引っ越しが付いてくること。そして、送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)の設定が管理画面の案内どおりに進められることです。Googleの送信者ガイドラインは、Gmail宛てに送るすべての送信者にSPFまたはDKIMの設定を求めています。設定が無いと、見積もりのメールが相手の迷惑メールフォルダに入り、「返事が来ない」としか見えません。

1人で、月々の費用を足したくないなら、サーバ付属のメールでも始められます。ただしその場合も、SPF・DKIM・DMARCは使い始める日に入れてください。

放っておいてよいこと: info@ のような役割別アドレス、メーリングリスト。1人のうちは1つで足ります。

→ SPF・DKIM・DMARCの設定の手順

3. パスワード管理:初日から。後回しにしない

一覧では3番目ですが、ドメインを取った時点で最初のアカウントができます。記録の方式は、ドメインを取る日に決めます。

私なら、専用のパスワード管理ソフトを初日から使います。 開業直後は、ドメイン、メール、銀行、会計、決済と、1か月で10以上のアカウントが増えます。ここで使い回しを始めると、後から全部を変える日は来ません。費用をかけたくなければ、OSやブラウザの組み込み機能でも構いません。勧めないのは、表計算のファイルにパスワードを並べることです。そのファイルが入ったパソコンを失くした時点で、全部を一度に渡すことになります。

総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」も、パスワードを使い回さないことと、多要素認証の利用を勧めています。

2要素認証をかける順番は、メール → ドメイン・DNSの管理画面 → 銀行・決済 → 会計・請求です。メールが先なのは、他のすべての再設定がメールに届くからです。

放っておいてよいこと: 複数人での共有の権限設計。1人のうちは要りません。

→ パスワード管理と2要素認証の進め方

4. 会計:最初の売上の前に

  • 今決めること: 記帳の方法(会計ソフトを自分で使う/税理士等に頼む/その併用)、事業用の口座とカードを私用と分けること、領収書・請求書の保存場所。
  • 私なら、口座とカードの分離を最優先にします。 ソフト選びより効きます。混ざった明細を年度末に仕分けるのは、どのソフトでも苦行です。
  • ソフトは「自分の申告の種類に対応しているか」「銀行・カードの明細を取り込めるか」「データを書き出せるか」の3点で選びます。3つ目を外すと、乗り換えたくなったときに出られません。

放っておいてよいこと: 部門別・案件別の管理、分析レポート。

帳簿や電子データの保存といった制度上の要件は、国税庁の案内が一次情報です。個別の判断は税理士・税務署に確認してください。

5. 請求:会計と同じ系列でそろえる

請求書のデータは、会計の入力元になります。私なら、会計ソフトと同じ系列の請求機能か、連携できる請求サービスにします。 別々に選ぶと、同じ数字を2回打つことになり、1年目の終わりにどちらかが合わなくなります。

  • 今決めること: 様式(記載項目)、番号の振り方(例: 年月+連番)、控えの保存場所、送り方。
  • 月に数通なら、表計算のテンプレートでも回ります。ただし番号の重複と控えの保存は、自分で守ることになります。

放っておいてよいこと: 定期請求の自動化、オンライン決済との連携。

6. バックアップ:外付け+クラウドで形にする

メール・帳簿・請求書という「失うと事業が止まるデータ」が溜まり始めたら用意します。

目安は、米国US-CERT(現CISA)の資料にある3-2-1(コピーを3つ、2種類の媒体に、1つは別の場所に)です。IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」も、基本の対策の1つにバックアップを挙げています。

私なら、パソコン本体+外付けの記憶媒体+クラウドの保存先、で始めます。 これで3-2-1の形になります。1年目にNASは要りません。機器を増やすと、その機器の面倒を見る仕事が増えます。

見落とされるのは、クラウドの会計・請求サービスの中のデータです。「クラウドだから消えない」は、サービスの側の故障に対してだけの話で、自分の誤操作や解約には効きません。手元へ書き出す手順があるかを確かめ、決算のたびに書き出します(頻度は私の目安です)。

→ 3-2-1のバックアップの組み方

7. 状況別:足す項目と、先に読む記事

状況足すこと先に読む記事
1人で、自宅で仕事をするドメインの登録情報に自宅の住所が出ないかの確認住所を出さないドメインの取り方
従業員や手伝ってくれる人がいる共有アカウントの利用者の一覧、人が抜けたときにパスワードを変える手順パスワード管理と2要素認証
店舗・事務所がある停電時に動かし続けたい機器(レジ・ルーター等)の洗い出し、建物の外に置くバックアップUPSの容量計算、3-2-1のバックアップ
従業員が10人を超えた/IT担当を兼任している共有フォルダの置き場所と権限の見直し、名簿の正本を1つにする、退職時に止めるアカウントの一覧NAS・ファイルサーバからクラウドへの引っ越し、AD/Entra ID/何も入れないの判断
すでに別の事業者でサイトやメールを動かしている新しく決める前に、引っ越しの順番を確認するサーバ・ドメイン・メールの引っ越しの順番

8. 確認表

#確認すること済
1ドメインの登録者の名義が自分(自社)で、自動更新が有効□
2ドメインの管理画面に登録した連絡先メールが、いま読めるアドレスである□
3独自ドメインのメールの置き場所を決めた□
4SPF・DKIM・DMARCのレコードを設定した□
5パスワードの記録の方式を決め、使い回しが無い□
6メール、ドメイン管理画面、銀行・決済、会計・請求の順に2要素認証を設定した□
7事業用の口座・カードを私用と分け、記帳の方法を決めた□
8請求書の様式・番号の振り方・控えの保存場所を決めた□
9バックアップの対象・保存先・頻度を決めた□
10クラウドサービスのデータを手元に書き出す手順を確認した□
117節の表で、当てはまる行の項目を足した□

1〜6が最初の1週間、7〜8が最初の請求書まで、9〜10が3か月以内。この期限の切り方は私の目安です。

出典(取得日: 2026-09-20)

決める順番と期限は、公的な指針の定めではなく筆者の実務上の目安です。

この記事は特定の製品の使用レビューではありません。公式仕様と公的情報をもとに整理しています。 ・仕様の取得日

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