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判断・選び方

雷のあとルーターが壊れた。雷サージ対策タップは、仕様のどこを見て買うか

公開 更新 読了7分

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夕立のあと、ルーターのランプが点かない。NASは無事なのに、LANの口だけ反応しなくなった。雷の多い季節に、小さな事務所でよく起きる故障です。次は「雷ガード」と書かれた電源タップを買おうと売り場に行くと、箱には「最大サージ電流 ○○A」「○○J」と数字が並び、どれが強いのか分からない。

私の見立てはこうです。タップの数字の大小を比べる前に、見るべき点が2つあります。その数字の試験条件と、守られていない線が残っていないか、です。 雷で壊れた機器の話を聞くと、電源タップは対策してあったのに、LANケーブルや電話線の側から入られている形が目立ちます。この記事を読み終えると、仕様表の項目を自分で読めるようになり、自分の事務所でどの線を守るべきかを数えられます。

先に結論

  1. 数値は試験条件と組で読む。 条件の書いていない数字は比べられないので、私は候補から外します。
  2. 線を数える。 電源線だけ守っても、LAN・電話線・アンテナ線からの経路は残ります。
  3. タップは保険の1枚目で、万能ではない。 雷が近いときに抜ける物は抜く。これがいちばん確実で、費用もかかりません。
目次(6)
  1. 1. 雷サージとは何か、タップは何をしているか
  2. 2. 仕様表の読み方
  3. 3. 線を数える:電源だけ守っても半分
  4. 4. 保護には上限がある。抜けるものは抜く
  5. 5. 買う前の確認表
  6. 出典(取得日: 2026-09-20)

1. 雷サージとは何か、タップは何をしているか

雷サージは、落雷によって生じる短時間の異常な過電圧・過電流で、電源線や通信線を通って建物内の機器に入ってきます。保護に使われる部品(SPD=サージ防護デバイス)は、過電圧が来た瞬間に低抵抗になって、サージ電流を接地側へ流します。オムロンの仕様項目の説明では、UPSの雷サージ保護はバリスタ素子を内蔵して減衰させるもの、とされています。電話回線やLANの線を保護する「回線サージ保護」は別の項目で、対応する機種としない機種があります。

つまり、タップは雷を「止める」のではなく、入ってきた過電圧を逃がして小さくする部品です。逃がせる量には上限があります。ここを誤解して「雷ガードつきだから大丈夫」と考えるのが、いちばん危ない買い方です。

UPSにも同じ機能が付いていることがありますが、停電対策とは別の項目です。UPSの容量の決め方は別の記事に書きました。

→ 停電でNASが壊れる前に。UPSは何VAを買えばいいか、計算はこの3行

2. 仕様表の読み方

仕様表の項目読み方
最大放電電流(Imax)・最大サージ電流保護部品に流せるサージ電流の波高値。単位はAまたはkA。どの電流波形での値かを見る
8/20μs試験に使う電流波形の表記。電源用SPDのクラスⅠ・クラスⅡ試験で使われる
公称放電電流(In)8/20μsの波形で繰り返し耐えられる電流の波高値。音羽電機工業の用語集は、JIS C 5381-11で15回以上の耐性が求められると説明している
電圧防護レベル(Up)・制限電圧サージが来たときにSPDの端子間に現れる電圧の最大値。後ろの機器にかかる電圧の目安
ジュール(J)表示ジュールはエネルギーの単位。どの条件で測った値かが併記されているかを見る
保護する経路電源線だけか、電話回線・LANなどの通信線も含むか

私ならこう読む

ここからは私の目安です。規格が「タップはこの値以上」と決めているわけではありません。

  • 最大サージ電流に、波形(8/20μs)が併記されている製品だけを候補にします。 波形の書いていない「○○A」は、どの条件の値か分からず、他の製品と比べようがありません。数字が大きく見えても外します。
  • 制限電圧(電圧防護レベル)が書いてある製品を優先します。 後ろの機器が実際に受ける電圧の目安は、この項目だけだからです。流せる電流が大きくても、後ろに高い電圧が残るなら機器は守れません。
  • ジュール(J)の数字だけで選ぶのはやめたほうがいい。 ジュールはエネルギーの単位で、測定条件が併記されていない値どうしは比べられません。箱にJの数字しか無い製品は、私は選びません。
  • 保護部品は消耗します。 サージを受けるたびに劣化する部品なので、保護機能が生きているかを示すランプのある製品にします。ランプが消えたタップは、ただの延長コードです。近くに落雷があった後と、年に1回、ランプを見る日を予定表に入れます。

3. 線を数える:電源だけ守っても半分

よくあるのは、電源タップは雷サージ対策品に替えたのに、次の雷でルーターのLANポートだけが壊れる形です。発覚の仕方は「インターネットはつながるのに、特定の口に挿したPCだけつながらない」。原因は、電話線や光回線の機器、LANケーブルを通ってサージが入ったことです。

事務所の機器ごとに、つながっている線を全部数えます。

機器電源線通信線見落としやすい点
ONU・ルーター○光・電話線、LAN電話線(メタル)が来ている建物は入口になりやすい
NAS○LANルーター・ハブ経由でつながっている
PC○LANノートPCを無線でつなぎ、バッテリーで動かしている間は線が無い
複合機・FAX○電話線、LAN電話線とLANの両方を持つ。橋渡しの経路になる
テレビ・レコーダー○アンテナ線、LAN事務所の待合にある場合

私なら、まず建物の外から線が入ってくる機器(ONU・ルーター、FAX)の電源と通信線を優先して守ります。全部のコンセントを対策品に替えるより、入口を絞るほうが効きます。LANや電話線用の保護機器は、電源タップとは別の製品です。通信線の保護を足すと速度や通話に影響する製品もあるので、対応する回線の種類と速度を仕様で確認してから買ってください。

接地(アース)の線や端子が付いたタップは、接地につなぐことが保護の前提になっているかどうかを、取扱説明書で確認します。1節のとおり、SPDはサージ電流を接地側へ流す部品だからです。アース端子の無いコンセントしかない部屋では、接地なしで使える製品かを買う前に見ます。

4. 保護には上限がある。抜けるものは抜く

仕様表の上限を超えるサージは防げません。直撃に近い雷に、タップ1個で耐えることはできません。

雷が近いときに電源プラグと通信線を抜いておくのは、サージの通り道そのものを断つ、費用のかからない方法です。私は、長い休みの前に「止めてよい機器は、電源と通信線の両方を抜いて帰る」を事務所の決まりにするよう勧めています。NASのように止めたくない機器だけを、タップとUPSで守ります。

タップを買わなくてよい人もいます。ノートPCだけで仕事をしていて、雷が鳴ったらACアダプターを抜ける人です。その場合、守るのは回線の機器(ONU・ルーター)だけで足ります。

壊れた後に効くのは、結局バックアップです。雷でNASごと失っても、別の場所にコピーがあれば仕事は戻ります。

→ パソコンが壊れても翌日から仕事に戻れる。数台の事業のバックアップはこの3点

5. 買う前の確認表

#確認すること済
1守りたい機器ごとに、電源線と通信線(LAN・電話・アンテナ)を数えた□
2建物の外から線が入ってくる機器(ONU・ルーター・FAX)を優先にした□
3最大サージ電流に、試験波形(8/20μs)が併記されている□
4制限電圧(電圧防護レベル)が書いてある□
5J(ジュール)表示は、測定条件が併記されているかを見た□
6保護機能の状態を示すランプがある□
7接地(アース)の要否と、設置場所のコンセントを確認した□
8通信線用の保護機器は、対応する回線の種類・速度を確認した□
9雷が近いとき・長い休みの前に抜く機器を決めた□
10ランプを点検する日を予定表に入れた□

出典(取得日: 2026-09-20)

仕様項目の説明は主に音羽電機工業の公開資料に沿っています。JISの規格原文とは照合していません。ジュール値の測定条件は製品ごとに異なるため、候補の製品のメーカーの資料で確認してください。

この記事は特定の製品の使用レビューではありません。公式仕様と公的情報をもとに整理しています。 ・仕様の取得日

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