小さな事業のIT手帖

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判断・選び方

事業用のレンタルサーバ、結局どれにする? 元インフラエンジニアが見る5つの点と、私の選び方

公開 更新 読了12分

中身の図の縮小版。色が付いているのは: 看板(Webサイト・サーバ)契約の名義とログイン情報ドメインDNSサイトメールアカウントファイルバックアップ電源・機器回線端末ソフトホームページとメール・パソコンの中身の図の、ここの話です看板(Webサイト・サーバ)中身の図で位置を見る →

会社のサイトを置くサーバを決めようとして比較サイトを3つ見たが、どこも「大容量・高速・安定」と書いてあり、順位だけが違う。それで決められずにこの記事を開いた人へ。

比較表に載っている数字の大半は、小さな会社では差になりません。ディスクが300GBでも500GBでも、会社案内のサイトは1GBも使わないからです。差になるのは、壊れたときと、出ていくときです。 読み終えると、公式ページのどこを見ればよいかが分かり、自分の用途ならどの種類のサーバを選ぶかを決められます。最後の確認表は、契約の前にそのまま使えます。

この記事の評価の立場を、先に1度だけ書いておきます。私は下に挙げる各社を全部契約して比べたわけではありません。書いているのは公式ページの仕様と、サーバの移行と運用を仕事でやってきた経験から見た評価です。報酬のある・なしで評価は変えていません。

先に結論:私が小さな会社に頼まれたら、こう選びます

  1. 会社案内と問い合わせフォームだけなら、サーバを借りない。 静的サイトをCDNに置けば足ります
  2. WordPressを使うなら、共用レンタルサーバの標準プラン。 条件は「自動バックアップから、自分で、無料で復元できる」こと。月1,000円前後です
  3. 社内にLinuxを触れる人がいないなら、VPSは選ばない。 安く見えますが、OSの更新と障害対応が全部こちらの仕事になります
  4. メールはサーバに置かない。 だからメールの容量や機能では選ばない
目次(7)
  1. 1. 差にならない数字(見なくてよい)
  2. 2. 本当に差になる5つの点
  3. 3. 用途別:私ならこうします
  4. 4. メールを外に出すなら、メールの欄は全部無視してよい
  5. 5. 主なサービスと料金の目安(取得日: 2026-09-20)
  6. 6. 契約の前に公式ページで見る10項目(記入式)
  7. 出典(取得日: 2026-09-20)

1. 差にならない数字(見なくてよい)

比較表の項目見なくてよい理由
ディスク容量数十ページのサイトと画像で数GB。どの会社の最小プランでも余る
転送量「無制限」月に数万回見られる程度では、どこも上限に届かない。「無制限」にも利用規約上の制限はある
表示速度の宣伝値・「国内最速」測定条件が各社ばらばらで比べられない。小さなサイトが遅い原因は、たいてい大きすぎる画像とプラグインの入れすぎで、サーバではない
メールアドレス数・メール容量メールを外に出すなら関係がない(4節)
独自ドメイン「永久無料」の特典サーバをやめるとドメインの扱いが変わる条件が付く。サーバとドメインの契約は結び付けないほうが、出ていくときに楽

2. 本当に差になる5つの点

① バックアップから「自分で」「無料で」復元できるか

いちばん大事な点です。よくあるのは、WordPressの更新やプラグインの追加で画面が真っ白になる、担当者が誤ってフォルダごと消す、改ざんされる、の3つ。どれも発覚するのは「お客さんに言われて」です。このとき、管理画面から自分で昨日の状態に戻せるなら30分で終わります。サポートに依頼して数日待つ、あるいは復元が有料、という仕様だと、その間サイトは壊れたままです。

見るのは3点。何日分あるか/ファイルとデータベースの両方か/復元を利用者が管理画面で出来て、無料か。改ざんは気づくまで1週間かかることが珍しくないので、私は7日分では足りず、14日分を目安にします。

サーバのバックアップだけを当てにするのも勧めません。同じ事業者の中にあるコピーは、契約の失効やアカウントの乗っ取りで一緒に消えます。月に1回は手元にも落としてください。→ パソコンが壊れても翌日から仕事に戻れるバックアップの組み方

② 出ていきやすいか

サーバは5年もすれば替えます。入るときに、出るときのことを見ておきます。

  • ファイルとデータベースを、標準の方法(SFTP/SSH、データベースの書き出し)で丸ごと持ち出せるか
  • DNSを外に置けるか。 そのサーバ会社のネームサーバーを使わなくても、Aレコードを向けるだけで動くか
  • 無料の独自SSLが、外部のDNSのままでも発行できるか
  • 独自の仕組み(専用のサイト作成ツールなど)に中身が閉じ込められないか。専用ツールで作ったサイトは、よそへ持ち出せないものがあります

→ 乗り換えの順番は サーバを乗り換えたらメールが止まった、を防ぐ

③ 窓口:電話があるか、何時までか

詳しい人が社内にいない会社ほど、ここが効きます。メールの返信が「48時間以内」の契約で、サイトが止まった朝に出来ることはありません。平日の日中に電話かチャットで人につながるかを見ます。同じ会社でも、安いプランは電話が無いことがあります。

④ 障害情報をどう公開しているか

障害の無い事業者はありません。見るのは件数ではなく出し方です。公式サイトに障害・メンテナンス情報のページがあり、発生時刻・影響範囲・復旧時刻が書いてあるか。契約の前に、そのページの過去3か月分を読んでください。これだけで、その会社の運用の姿勢がだいたい分かります。

⑤ プランを上げ下げできるか

アクセスが増えたときに、サーバを引っ越さずに上のプランへ変えられるか。下げられるか。変更がいつ反映されるか(即日か、翌月か)。最初から大きなプランを買う必要がなくなります。

3. 用途別:私ならこうします

用途私の選び方理由
会社案内と問い合わせフォームだけ。更新は年に数回サーバを借りない。 静的サイト+CDN更新するソフトが無いので、改ざんもバックアップの心配もほぼ消える。費用はドメイン代だけで済む構成が組める。→ 会社案内のサイトにサーバ代は要らない
担当者が自分でお知らせやブログを更新したい(WordPress)共用レンタルサーバの標準プラン月1,000円前後で、OSとミドルウェアの保守は事業者がやる。①の条件を満たすものだけ残す
WordPressで集客していて、管理画面も表示も重い先に画像とプラグインを見直す。それでも重ければ同じ会社の上位プラン、次に専有(マネージド)型引っ越さずに済む順に試す。VPSへ逃げるのは最後
取引先の審査や社内規程で、SLAや電話窓口、設定の代行が要る法人向けプラン月4,000円前後から。払うのは性能ではなく「人の手」の代金。IT担当が兼任の会社では、安い買い物になることが多い
自社開発のアプリや、共用サーバで動かないソフトを動かすVPS。ただし、Linuxの更新と監視を続けられる人が社内にいる場合だけいないなら、マネージド型か、開発会社の保守契約とセットで

VPSを「安いから」で選ぶのは勧めません。 さくらのVPSの公式ページにも、サーバの運用管理は利用者自身で、と書いてあります。OSの更新、ファイアウォール、不正ログインの監視、バックアップの仕組みまで、全部こちらで作る契約です。よくあるのは、詳しい人が構築して退職し、3年間だれも更新していないVPSが残る形。踏み台にされて、事業者からの警告メールで気づきます。

共用サーバを勧めない場合も書いておきます。決済や会員の個人情報を自前のサイトで持つなら、サーバ選びより先に、予約・EC・会員管理の専用サービスに任せることを考えてください。小さな会社が自分のサーバで守る物は、少ないほどよいです。

4. メールを外に出すなら、メールの欄は全部無視してよい

引っ越しの記事で、メールはサーバ付属ではなくグループウェアに置くことを勧めました。そうすると、サーバ選びは一気に単純になります。メールアドレス数、メール容量、迷惑メール対策、Webメールの欄は全部読み飛ばせます。サーバを替える日も、Aレコードを1行書き換えるだけです。

数アドレスだけで費用を足したくないなら、付属のメールでも構いません。その場合は、①のバックアップにメールが含まれるかを必ず見てください。

→ 独自ドメインのメールが迷惑メールに入るときのSPF・DKIM・DMARC

5. 主なサービスと料金の目安(取得日: 2026-09-20)

公式ページで確認できた事実だけを書きました。料金は税込の月額換算で、長期の一括払いほど安くなる仕組みです。キャッシュバックの「実質」表示は入れていません。期間限定のキャンペーン料金しか公式ページに出ていなかった欄は、その旨と期限を書いています。確認できなかった欄は「公式で確認」としています。

サービス種類料金の目安(税込・月額換算)バックアップと復元窓口
エックスサーバー スタンダード共用12か月契約 1,100円/36か月 990円/3か月 1,320円。初期費用0円自動で過去14日分(Web・メール・データベース)。サーバーパネルから自分で復元できる。追加料金の記載なしメール24時間受付。電話とチャットは平日10〜18時
さくらのレンタルサーバ スタンダード共用公式で確認(料金はシミュレーション形式で、取得できず)。初期費用無料スナップショットを最大8個、無料、自分で戻せる。スタンダード以上24時間365日受付。チャット・メール・コールバック
ロリポップ! ハイスピード共用12か月 1,045円/36か月 660円/1か月 1,430円。初期費用0円ハイスピード以上は自動バックアップ・復元とも無料。ライトとスタンダードには無い(有料オプションの7世代バックアップ 月440円を足す形になる)。保持日数は公式で確認メール(ハイスピードは24時間以内に返信)、チャット、電話。ライトは電話なし
ConoHa WING ベーシック共用通常料金は時間課金で月の上限1,452円。長期前払いのWINGパックは、2026-09-24までの新規申込のキャンペーン料金で12か月 937円/36か月 678円(期間外の料金は公式で確認)。WINGパックは契約期間中の途中解約ができない。初期費用無料自動で過去14日分、Web・メール・データベースの復元が可能。自分で操作できるかは公式で確認電話・メールあり。受付時間は公式で確認
XServerビジネス スタンダード共用(法人向け)12か月 4,180円/36か月 3,762円。初期費用16,500円公式で確認設定の代行が無料・回数無制限。電話の時間とSLAは公式で確認
さくらのVPS 1GB/2GBVPS1GB 月払い880〜990円、2GB 1,738〜1,958円(リージョンで違う。年払いは約8%安い)。初期費用無料料金ページに記載なし=自分で仕組みを作るOSから上は利用者の責任
Cloudflare Workers(静的アセット)静的サイトの配信静的ファイルへのリクエストは無料・無制限。プログラムを動かす分は別の料金体系サイトの元データは手元(Git)にあるので、作り直せる無料プランに電話窓口は無い。自分で調べられる人向け

表を見たうえでの私の評価です。

  • WordPressを置くなら、「14日分・自分で復元・無料」が公式に明記されているものから選びます。 今回確認できた範囲では、エックスサーバーのスタンダードがこの3つを全部、公式ページで確かめられました。迷ったらここを基準にして、他社は同じ3点が書いてあるかで比べてください
  • さくらのレンタルサーバは、スナップショット方式で「更新の前に1枚撮って、だめなら戻す」がやりやすい。ただし自動で毎日たまる方式とは考え方が違うので、撮るのを運用に組み込める会社向けです
  • ロリポップ!は、安いプランにバックアップが無い点だけ覚えておいてください。選ぶならハイスピード以上。月300円台のライトで会社のサイトを動かすのは勧めません。差額は、壊れた日に何倍にもなって返ってきます
  • 36か月契約の月額に釣られない。初めての事業者なら、私は12か月にします。合わなかったとき、残り2年ぶんの前払いが「出ていけない理由」になるからです
  • 法人向けプランの初期費用と月4,000円は、設定の代行と窓口の代金です。「サーバの設定を頼める人が社内にも社外にもいない」なら、私はこちらを勧めます

6. 契約の前に公式ページで見る10項目(記入式)

#見ること見る場所候補A候補B
1自動バックアップは何日分か。ファイルとデータベースの両方か機能ページ
2復元は自分で出来るか。無料か機能ページ・マニュアル
3契約期間ごとの月額と、更新時の料金。初期費用料金ページ
4途中解約の返金の有無利用規約・よくある質問
5電話・チャットの有無と受付時間(自分が選ぶプランで)サポートページ
6障害・メンテナンス情報のページがあり、過去の記録が読めるか公式サイト内
7外部のDNSのままで使えるか。無料SSLは発行できるかマニュアル
8SSHまたはSFTPが使えるか。データベースを書き出せるか機能ページ
9上位・下位プランへ変更できるか。反映はいつかよくある質問
10ドメイン無料などの特典に、解約時の条件が付いていないか特典の注意書き

1と2が埋まらない事業者は、私は候補から外します。

ドメインはサーバとは別の契約で、自社の名義で取ってください。→ 自宅開業でドメインを取るときの取り方 / 全体の順番は 開業1年目のIT、最初に決めるのはドメイン

出典(取得日: 2026-09-20)

料金と仕様は取得日時点の公式ページの記載です。変わるので、契約の前に必ずリンク先で確かめてください。「14日分を目安にする」「初回は12か月契約」は筆者の目安です。

この記事は特定の製品の使用レビューではありません。公式仕様と公的情報をもとに整理しています。 ・仕様の取得日

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